日本のヒップホップカルチャーが大きく花開いた1990年代。その時代に活躍し、シーンを築き上げたキーパーソン17人のインタビューを収録したのが本書「私たちが熱狂した90年代ジャパニーズヒップホップ」(リアルサウンド編集部、辰巳出版)だ。
彼らが語る当時のエピソードを読むと、まさに先駆者として文化や時代を作り上げてきたという自負を痛烈に感じる。そうかと言って、偉ぶる様子はなく、至って謙虚な姿勢が言説から読み取れるのが興味深い。本当の意味でゼロからイチを作り上げた者というのは、そういうことなのかもしれない。
残念ながら私自身はヒップホップ分野に疎いため、詳しい解説はいずれまた誰かに寄稿してもらいたいと思うが、本書の中で印象に残った一文を取り上げたい。
「当時、俺たちが本当に恵まれていたのは、教科書がなかったことだね。なにもわからなくて手探りでやっていたからこそ、リアルだったし、みんなでヒップホップを盛り上げることができた」(YOU THE ROCK★)
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